疑義照会

疑義照会とは

「疑義」とは内容がハッキリせず疑問に思うこと、「照会」とは問い合せて確かめることです。医師が発行した処方箋の内容に疑わしい点や不備があった際に、医師に確認を取ることを疑義照会といいます。薬剤師法で疑義を解決するまで調剤はしてはいけないと決められています。つまり、疑義照会とは薬剤師が行わなければならない義務なのです。具体的なチェックの内容は以下の通りです。用法用量︰記載漏れや、薬剤、量などに不備がある場合に疑義照会をします。用法用量が違うと時に過量投与などによる大きな事故を招く恐れがあります。薬学的な判断︰患者さんが以前飲んで合わなかった薬が処方されていたり、アレルギーを起こす原因の薬が処方されていたりする場合に疑義照会をします。その他︰一度に処方できる日数をこえている場合も医師に確認をして正しく訂正してもらいます。また、時にこのまま調剤しても問題ない処方箋でも疑義照会をする場合があります。良くあるのが服薬指導をしている時に「この薬はまだ家にあるからいらない。」「旅行に行くからもっと量を増やして欲しい。」「これじゃなくて別の薬が欲しい。」と患者さんから言われるパターンです。このような場合も薬剤師の独断で処方内容を変えることはできないので、医師に疑義照会をして患者さんの要望を伝えなければなりません。

疑義照会のメリット、注意点

疑義照会をしなければならない一番の理由は患者さんの健康を守るためです。処方箋に記載されている単位が違うことに気が付かずにそのまま調剤し、過量投与により健康被害をもたらした、というような事故は何度か起きています。患者さんの命に関わることですので処方箋はしっかりと確認しなければなりません。疑義照会を怠った結果、健康被害が出た場合は医師だけでなく薬剤師も法的責任に問われます。疑義照会の頻度ですが、一般的に処方箋100枚あたり、2~3件程度と言われています。半数以上が処方箋を受け付けた時点で疑義に気が付きます。疑義照会をする際ですが、医師は多忙なことが多いので必ず「お忙しい中申し訳ありませんが」など、一言加えて話すようにしましょう。横柄な態度で向かってくる人の話はだれでも聞きたくありませんので、こちらの話し方次第では疑義照会を受け入れてくれない恐れもあります。また、疑義照会をするにあたり、患者さんを待たせてしまうことにもなります。「時間がかかるなら他の薬局に行く。」「医師の判断に薬剤師が口出しするな。」などクレームを受けてしまうこともあります。

薬剤師に求められる専門性

疑義照会の結果、処方が変更になる割合は約75%となっており、年々この割合は増加しています。医師は薬についての知識はありますが、専門家ではありません。疑義がある場合、薬剤師からきちんと疑義照会をしてほしいと希望する医師が多いのもまた事実です。医薬分業が推進されている現在、薬剤師が疑義に気づける知識をつけ、医療過誤を予防していくことが薬剤師に期待されている仕事の一つでもあります。