薬剤師

薬剤師(やくざいし)とは

日本における薬剤師とは、年1回行われる薬剤師国家試験に合格し、国によって免許を与えられた者のみを指します。その行動は薬剤師法によって律せられ、医薬品医療機器等法など医薬品に関わる法律にも深く関わっています。管轄省庁は厚生労働省であり、薬剤師免許は厚生労働大臣によって与えられます。薬剤師法によると薬剤師は「調剤医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどること」を業とし、国民の健康な生活を確保する責任を負っています。薬剤師の職域は極めて広く、病院、薬局、ドラッグストアなどの医療機関に就業するほか、行政や保健所、警察、自衛隊等の公的機関、製薬会社での研究・開発、工場内衛生管理など、一般的にはあまり知られていないような業務も行っています。非常に多岐にわたる職能はいまもなお拡大し、様々な分野で薬剤師が活躍しています。しかしすべての職務に共通することは、あらゆる物質を有効に、また安全に管理し、取扱うことで、人命を守っているということでしょう。

医療人としての薬剤師

職能が広いとはいえ、最も従事する人数が多いのはやはり医療現場です。薬剤師のうち70%以上が薬局または病院に勤務しています。業務内容としては主に調剤業務が挙げられますが、ひとくちに調剤といっても調剤室で薬を用意するだけではありません。患者への服薬指導はもちろん、医師とともに処方設計や投与計画も行います。かつては「調剤室にひきこもる薬剤師」と揶揄されていましたが、病棟薬剤業務が認められるようになったことで、入院患者に対する聞き取りや指導もより活発に行われるようになりました。また、病院内の感染防御や薬剤に関する院内講義等を通してもチーム医療に貢献しています。ますます複雑化する薬物を適切に扱い、よりよい医療を提供するために薬剤師への期待が高まっているのです。調剤薬局やドラッグストアでは、服薬指導に加えて医師への処方提案、市販薬の商品提案などを行っています。病院とは異なり、気軽に立ち寄れる医療施設である薬局は、セルフメディケーションの推進も重要な任務として担っています。近年では在宅医療に参加する薬剤師も増えたことで、患者に寄り添う医療を提供する機会も増えました。

薬剤師統計

薬剤師は2年に1回、国(厚生労働省)に対して自らの現状を報告する届出を行っています。近年の届出による統計によると薬剤師数は29万人近く存在し、薬学部新設による影響もあってその数は年々増加しています。とはいえ、30万人以上いる医師よりも少ない人数で推移しています。これは意外に思われるかもしれませんが、今後医師に集中しすぎた業務を薬剤師が担うことが求められているため、2職種の差は縮まっていくと考えられるでしょう。男女比は4:6で女性のほうが多く、パート薬剤師の多い調剤薬局等では、ほとんどが女性スタッフということも珍しくありません。従事する施設や業種の割合は、薬局55%、病院・診療所19%、製薬企業等15%、行政機関・保健衛生施設2%、大学関係2%のようになっています。