在宅医療

在宅医療とは

病院への通院が不可能な患者さんや、治療は必要だが通院はしたくない、最期は住み慣れた家で迎えたいという患者さんなど、在宅での療養を希望する患者さんに対する医療を在宅医療と言います。医師や看護師、薬剤師、管理栄養士などの医療スタッフが協力して在宅医療を行っていきます。医師が患者さんの家に往診しに行き、薬剤師は調剤や薬の服用のチェックを行います。在宅医療を受けるには、在宅医療を行っている医療機関に行き、面談を行います。以前行っていた病院での診察の記録を元に医師や看護師が患者さんと話し合って在宅医療の進め方を決めます。

在宅患者訪問薬剤管理指導の決まり

対象となる患者さんは医療保険のサービスを利用するため、要介護認定の必要はありません。薬局から原則16km以内にあり、通院が困難な方が対象です。勿論、医師からの訪問指示がなければ訪問することはできません。在宅患者訪問薬剤管理指導料は1回につき650点です。しかし、同一建物居住者の場合は1回につき300点となります。訪問できる回数は患者さん一人に対して月に4回までです。在宅患者訪問薬剤管理指導料を月に2回以上算定する場合は、前回の算定日から6日以上間隔を空けなければなりません。しかし、末期がんや静脈栄養を受けている患者さんの場合は週に2回、月に8回まで訪問することが可能です。麻薬の管理も合わせて行う場合は更に1回につき100点を加算できます。他に訪問している患者さんの病態が急変したなどの理由で訪問した場合は在宅患者緊急時等共同指導料として700点、薬剤師が疑義紹介し処方が変更になった場合は在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料として30点を加算できます。訪問した後は医師に訪問薬剤管理指導報告書を提出します。報告書にはお薬の管理方法や訪問頻度、その他気になることなどを記載します。

在宅での薬剤師の役割

在宅で薬剤師の力が必要とされる場面は多々あります。在宅で気づくことが多いのが残薬です。しっかりと飲んでいそうな患者さんでも自宅に行くと薬がたくさん残っていることも珍しくありません。なぜ、残薬が発生してしまったのか、原因を究明して今後の対策を検討します。もしも薬の形状のせいで飲みにくいというのが理由だった場合は服薬ゼリーなどの使用を進めたり、医師に剤形の変更を提案したりします。ただ単に飲み忘れが多く発生しているだけの場合はお薬カレンダーや、一包化、服薬するタイミングの変更などを提案します。しかし、患者さん本人でできることまでこちらから手を出してしまうと患者さんの残存能力の低下を招く恐れがあります。過剰な支援にならないように気をつけながら行う必要があります。また、無駄な薬を処方され再び残薬が発生することを防ぐために残薬の整理をし、処方日数の調製を医師にお願いします。患者さんの中には処方された医薬品以外に一般用医薬品を自分で購入し飲まれている方もいます。このような薬やサプリメントの飲み合わせも見てあげる必要があります。