血液製剤

血液製剤とは

血液製剤とは、人の血液成分を原料として作り出される医薬品の総称をいいます。ヒトその他生物の組織等を用いた製品のうち、保健衛生上特別の注意が必要なものを生物由来製品といいますが、その中でも感染症等の発生リスクが高く、さらに厳重な安全対策が必要なものを特定生物由来製品といいます。血液製剤は、感染症等の発生リスクが高いことから、特定生物由来製品に位置づけられています。また、血液製剤は血液成分が欠乏あるいは機能不全になった際に、その成分を補充することで症状の軽減を図るのに用いられます。

血液製剤の分類

血液製剤は、大きく分けて全血製剤、血液成分製剤、血漿分画製剤の3つに分かれます。全血製剤と血液成分製剤を合わせて輸血用血液製剤と呼ぶこともあります。全血製剤は、紛れもなく人の血液そのものを指します。以前は大量輸血に全血製剤が用いられていましたが、現在はほとんど使用されていません。そして、この全血製剤を遠心分離すると、透明な上層と赤い沈殿層の下層に分かれますが、上層から得られる製剤が血漿分画製剤です。血清アルブミン製剤、血液凝固因子製剤、免疫グロブリン製剤などがあります。血清アルブミン製剤は火傷やショックの治療に、血液凝固因子製剤は血友病の治療に、免疫グロブリン製剤は重症感染症の予防治療や免疫低下時に用いられます。一方、下層から得られる製剤が血液成分製剤となります。赤血球製剤、血小板製剤、凍結血漿製剤があります。赤血球製剤は慢性貧血や外科的手術前後の輸血に用いられます。血小板製剤は、出血時あるいは出血リスクが高い場合に用いられます。凍結血漿製剤は、その名の通り凍結製剤に含まれ、血液凝固因子の欠乏による出血傾向の際に用いられます。

血液製剤における薬剤師の役割

血液製剤における薬剤師の役割は、その①品質管理、②患者さんへのインフォームドコンセントの実施、そして③副作用報告の3つにあります。①品質管理については、保存温度と有効期限チェックが大切です。例えば全血製剤の場合、保存温度は2-6℃で有効期間は採血後21日間とされています。血清アルブミン製剤であれば、保存温度は凍結を避けて30℃以下、有効期間は検定合格後2年間とされています。このように、血液製剤によってその保存温度と有効期間が全く異なりますので、注意しながらしっかり管理することが大切です。また、血液製剤を用いる際は、患者さんやその家族に説明して理解してもらった後に同意を得る必要があります。ただ説明するのではなく、しっかり理解してもらうことが大事です。そのためにも医療的な専門用語は極力避け、なるべく平易な言葉を使うようにしましょう。③副作用報告については、血液製剤を使用して副作用が生じてしまった場合、薬剤師を含む医療従事者は厚生労働大臣に報告しなければなりません。その場合、患者さんに対しては医薬品副作用被害救済制度という制度で救済措置がとられます。