CDTM

CDTMとは

共同薬物治療管理業務のことです。Collaborative Drug Therapy Managementの頭文字を取ってCDTMと呼ばれています。特定の患者の治療をする際に、医師と薬剤師が契約を交わします。合意の下で作成されたプロトコルに沿って契約の中で薬剤師が主体となって薬物治療を行っていくシステムです。このCDTMは薬剤師の働き方や在り方を変えるとして現在注目を集めています。CDTMはアメリカで生まれた概念です。薬剤師主体の業務が現われたことでCDTMの認知度は除々に高まってきています。

CDTMで薬剤師に求められること

CDTMが導入されることによって、薬の専門家である薬剤師が薬物治療の管理を行うことができます。これにより、更に質の高い医療を提供できるようになることが期待されています。また、医師の負担を減らせるというメリットがあります。具体的に薬剤師がCDTMで行える業務は以下の通りです。①プロトコルに基づいて投与する薬物、投与量、投与期間などを決定する。②どの薬剤を使用するか、投与量や投与方法などを医師に提案する。③患者に副作用が出ていないか、治療はうまくいっているかなど、薬学的管理を行う。④血中濃度のモニタリング結果を元に副作用や有効性について確認し、応じて薬剤の変更を医師に提案する。⑤入院患者の持参薬についてどのような薬を服用しているのか内容を確認し、投与計画の提案を医師にする。⑥患者の状況を定期的に観察するために、処方せんを一度に調剤せずに複数回に分割して調剤する。⑦無菌調製が必要な抗がん剤などの調製を正しく行う。

日本でのCDTMの普及について

日本では薬剤師に処方権がありません。また、医師と契約を結ぶというのも一般的に行われていることではありません。アメリカから普及してきたCDTMですが、日本に合わせたCDTMを行っていくことが普及への近道です。かつては服薬指導や処方監査を行う権利もなかった薬剤師ですが、今となっては当たり前のように行われています。このようにCDTMを行うことが当たり前となる時代がいつやってくるか分かりません。薬の専門家であることを忘れずに治療へ参加していくことが普及に繋がっていきます。

日本と海外での薬剤師の地位の差

日本の医療現場では医師がほとんどの決定権を持ちます。しかし海外では主体となって治療を進めているのは医師ではなく薬剤師なのです。また海外にはリフィル処方せんという制度があり、制限はありますが、同じ処方せんを繰り返し使うこともできます。症状が安定している患者の治療を薬剤師に委ねることにより医療機関を受診する手間を省いているのです。このように、薬剤師への信頼が海外ではとても大きいのです。日本の薬剤師が行える業務が制限されすぎていて職能を発揮しきれていないのが現状です。海外と日本の薬剤師の業務内容は大きく異なるため、その分、給料も大きく違います。アメリカの薬剤師の平均年収は1200万円とも言われており日本の平均年収の倍以上もあります。年収の違いに嘆く方もいますが、課せられている責任に大きな違いがあるのです。