スポーツファーマシスト

スポーツファーマシストとは

スポーツを公平に行っていくためには、薬物を不正に利用しドーピングをすることは絶対にしてはいけないことです。このドーピングに関する最新の知識と情報を持つ薬剤師のことをスポーツファーマシストと呼びます。2005年に日本ではアンチ・ドーピング条約が採択されました。この条約はドーピングの撲滅をすることを目標とし世界アンチ・ドーピング機構を中心に世界でドーピングを防止する体制を整えていくことを目的としています。この条約によりドーピングに対する意識が高まった所で、2009年にスポーツファーマシストの制度が作られました。ドーピングは故意にやる人もいますが、そのつもりはなくてもしてしまう「うっかりドーピング」というものが特にスポーツ選手達を悩ませています。ドーピングに引っかかってしまう選手を減らすのがスポーツファーマシストの役目です。

スポーツと薬物の関係

ドーピングといえば男性ホルモンのような薬物を想像する人が多いでしょう。しかし、ドーピング検査に引っかかる薬物は一般用医薬品のように誰でも買えるようなものにも含まれています。多くの総合感冒薬に含まれているメチルエフェドリンやエフェドリン、プソイドエフェドリンは協議会検査禁止物質です。これらの物質は咳止めや鼻炎薬にも含まれています。また痔疾用の治療薬や皮膚外用薬には副腎皮質ステロイドが含まれているものが多くあり、こちらも協議会検査禁止物質です。また酔い止めや解熱鎮痛薬に含まれるカフェイン、点鼻薬や目薬に含まれるナファゾリン、漢方薬に含まれるキジツやチンピなどは禁止物質ではありませんが監視プログラムに指定されています。監視プログラムとは現段階では禁止物質にはなっていないものの、濫用が疑われれば禁止物質に指定される可能性のある薬物です。普段何気なく手に取ることのできる薬にも禁止物質は多く含まれています。エフェドリンやメチルエフェドリンはドーピング検査までに7日以上あければ服用しても大丈夫だと言われていますが、代謝能力には個人差があるので最初から禁止物質の含まれている医薬品には手を出さないようにするのが賢明です。

スポーツファーマシストになるには

スポーツファーマシストになるには薬剤師の資格は必須です。年齢制限はなく、実務経験も必要ありません。講習会に申し込みをし、試験を受けるだけです。この講習会の枠がかなり少ないため、応募者が多い場合は抽選となる場合があります。試験は会場受験だけでなくネット上でも受けることができ、難易度は比較的易しい内容となっています。試験に合格し、認定申請をすることでスポーツファーマシストの認定書が発行されます。認定は4年間しか有効ではないので更新の必要があります。また、年に1回、都道府県が実施する実務講習会を受講する必要もあります。スポーツファーマシストの活躍の場は今はあまり多くはありませんが、薬剤師の専門性を高めスポーツをする人々の役に立つことが大事な役割となっています。