生物学的製剤

生物学的製剤とは

生物学的製剤はバイオテクノロジーの技術を駆使して開発された医薬品のことで、日本国内では2003年から使用が開始されています。生物由来のもの、化学合成されたもの両方を含みます。生物学的製剤の厳密な規定はないため、一般に厚生労働省が提示している生物学的製剤基準に準ずる医薬品を指しています。免疫抗体、血液製剤、ワクチンなどが該当します。高い効果を期待できるものが多いですが、薬価が高い製剤が多いのが特徴です。関節リウマチの治療に用いられる製剤には1日当たりの薬剤費が五千円を越すものも多く存在しています。年間の治療費が数十万円にもなってしまうため、効果が期待できるのにも関わらず経済的な理由により生物学的製剤を使用できないケースもあります。

生物学的製剤の副作用と安全管理

生物学的製剤は腹痛が比較的、起こりやすい製剤です。感染症や間質性肺炎が特に発生頻度が高く、これらの副作用により患者が死亡した例もあります。ニューモシスチス肺炎や結核なども発生頻度が高く、生物学的製剤の投与前にこのようなリスクを保持していないか確認することが副作用の発生を防ぐために重要となります。これらの副作用は生物学的製剤が免疫機能を抑制してしまうことにより起こります。また、製剤の製造過程上、病原体が混入しやすいのも問題となっています。そのため、製造にあたり通常の医薬品よりも厳重な品質管理をすることが義務付けられています。厚生労働省の提示する生物学的製剤基準に則った国家検定に合格しなければ市場に出荷することはできません。製剤の安全性、有効性を確認するために様々な試験が行われます。物理化学試験:製剤の物理化学的な特徴を検査する試験です。タンパク質の含有量やホルムアルデヒド、フェノールなどの含有を調べます。培養細胞への摂取による検査では動物やヒトに由来する細胞に製剤を投与してウイルスが混入していないかどうかを確認します。動物、卵による検査では動物や又は鶏卵に製剤を投与し、効果があるか、副作用が起きないかを確認します。

生物由来製品感染等被害救済制度

厚生労働省が規定したヒトや動物などの生物由来製品は、どんなに安全対策を行って使用したとしても副作用の発生を完全に予防することは難しい製剤です。そのため、生物由来製品を適正に使ったにもかかわらず起きた副作用に対してこの生物由来製品感染等被害救済制度が適用されます。この制度は生物由来製品を使用した家族の方などに感染が広まってしまったような二次感染の場合にも適用されます。給付金はPMDAから支給されます。給付金の種類はいくつかあり、医療費、障害年金、遺族年金、葬祭料などがあります。PMDAは起きた副作用が本当に生物由来製品によるものなのかの申し出を厚生労働大臣にします。最終的な判断は薬事・食品衛生審議会が行います。損害賠償の責任がある明らかな場合、入院を必要と判断しない程度の副作用である場合、適正に使用していなかった場合には給付の対象外となります。