制酸薬

制酸薬とその注意点

制酸薬は胃酸を中和する効果のある医薬品のことです。胃酸過多や胃腸炎、胃のムカムカなどの症状に用いられます。大きな副作用が起こる頻度は極めて少ない医薬品です。しかし他の医薬品との飲み合わせに注意が必要な場合があります。胃粘膜保護作用のあるスクラルファートですが構造にアルミニウムを含んでいるため、スクラルファートを含む医薬品を腎機能の低下している人に投与する場合は注意します。ニューキノロン系薬と同時に服用すると、キレート形成をして吸収が落ちるので止むを得ずどちらも服用しなければならない場合は服用間隔を2時間以上あける必要があります。アルミニウムが蓄積してアルモニウム脳症を引き起こす恐れがあります。また牛乳は胃の粘膜を保護すると言われているからと胃薬と牛乳を一緒に飲んでしまう方もいますが、こちらも注意が必要です。マグネシウム製剤と牛乳を一緒に飲むことによって血中カルシウム濃度が上昇し頭痛、吐き気、嘔吐、食欲不振などの症状を起こすミルクアルカリ症候群を誘発する恐れがあります。他に中和剤を服用する際に炭酸水などの炭酸飲料で服用してしまうと、中和作用が胃酸ではなく炭酸飲料に対して働くため薬の効果が弱くなってしまうこともあります。胃薬はドラッグストアなどで簡単に購入できますが、飲み方によっては効き目が出なかったり、逆に副作用が出たりする恐れもあります。

制酸薬の種類

制酸薬で良く使われているのは炭酸水素ナトリウムと酸化マグネシウムの二種類です。炭酸ナトリウムはいわゆる重曹のことで、とても身近な成分です。即効性はあるものの、効果の持続性に欠けています。全身作用が期待できるため、制酸薬としてだけではなく、アシドーシスや尿酸排泄の促進などにも用いられます。しかし長期間にわたって大量投与することによりアルカローシスを招く危険性もあります。酸化マグネシウムはカマグとも呼ばれており、医療用医薬品でも一般用医薬品でも良く使われている成分です。緩下薬としても用いられます。期待する効果により用法容量は異なります。緩下薬として使用する場合は酸化マグネシウムとして、通常成人1日3回、1回2gを食前又は食後に服用します。制酸薬として使用する場合は酸化マグネシウムとして、通常成人1日0.5~1.0gを数回に分けて服用します。比較的安全性の高い成分ですが体質によってはお腹が緩くなったり軽い腹痛が起きたりする場合もあります。そのため自分に適した量を調節して飲む必要があります。腎機能の低下している人、ビタミンD3製剤を服用している人は酸化マグネシウムの長期服用により高マグネシウム血症を引き起こす恐れがあります。念のため酸化マグネシウムを必要とされる方には併用薬の確認をすることが望ましい対応となります。

胃薬を常用することの危険性

胃の調子が悪いからと病院に行かずに一般用医薬品で済ませる方は大勢いらっしゃいます。仕事が忙しく中々病院に行くことが出来ないため、長期間にわたって服用しているケースもあります。薬を服用することにより症状が落ち着いて治ったような感覚になりますが、実は胃潰瘍などの病気が潜んでいる可能性もあります。薬によって症状がマスキングされてしまい病気に気づくのが遅れてしまいますので、頻繁な服用は避け、症状が続く場合は医師へ診察してもらうようにしましょう。