放射性医薬品

放射性医薬品とは

放射性医薬品とは、放射性同位元素(RI、ラジオアイソトープ)を使用した医薬品で、薬事法(現在は薬機法)の下、厚生労働大臣から製造販売の承認を受けたものです。放射性医薬品は主に疾病の診断に用いられ、体内診断用と体外診断用に大別されます。前者は直接人体に投与した後、放射性医薬品から放出された放射線を体外から測定し、後者は直接人体には投与せず、血液や尿中に含まれる放射性医薬品を体外から測定します。

放射性医薬品取り扱いのガイドライン

近年、放射性医薬品の研究が著しく発展し、診療における役割も急激に変化してきています。このような変化に伴い、放射性医薬品の安全管理・安全使用の体制の確保に努め、良質な医療を提供する体制が必要になってきました。そんな中、H23には日本核医学会、日本核医学技術学会、日本診療放射線技師会、日本病院薬剤師会の4団体により、「放射性医薬品取り扱いのガイドライン」が作成されました。このガイドラインでは、放射性医薬品の取り扱いに関わる医師・薬剤師・診療放射線技師の三者が、各々の専門性を最大限に活かしながら協力していくことの重要さを謳っており、放射性医薬品の調製や品質管理、患者への説明、廃棄法などを解説しています。

放射性医薬品と薬剤師

放射性医薬品における薬剤師の役割は、その「調製」と「安全管理・品質管理」です。「調製」は、薬剤師なら誰でも良いというわけではなく、ガイドラインに定められた教育・研修を受け、かつ日本核医学会が認定する学会・講習会を5年毎に受講し、放射性医薬品の品質確保や安全管理に必要な知識を会得した薬剤師でなければいけません。一方「安全管理・品質管理」は、薬剤師の中で医療機関の管理者から指名された「放射性医薬品管理者」が担います。放射性医薬品管理者は、各医療機関の「医薬品の安全使用のための業務手順書」に従い放射性医薬品の安全確保に関する業務の総括、安全使用のための研修実施、品質に関する報告(年1回以上)、廃棄されるまでの管理を行います。

放射性医薬品の更なる発展

従来、放射性医薬品は疾病の診断のみに使用されてきました。しかし、最近では放射性同位元素内用療法に用いるイットリウム-90 標識抗CD20 抗体が承認され、放射性医薬品の役割は診断から治療にまで広がってきています。このように、放射性医薬品を取り巻く環境は短期間で大きく変わってきており、これに伴い薬剤師による放射性医薬品の正確な調剤・安全管理・品質管理はこれから更に重要になるのは必至です。日本病院薬剤師会も、薬剤師が放射性医薬品を用いる業務に積極的に取り組むよう、ホームページなどを通して呼び掛けています。ですから、ガイドラインに目を通し理解を深めておきましょう。