止瀉薬

止瀉薬とその種類

止瀉薬は簡単に言えば下痢止めのことです。通常、便に含まれる水分は約60%~70%ですが何らかの原因によりこれが約90%を超えると下痢の症状が現われます。止瀉薬には作用機序によりいくつかに分類されます。腸管運動抑制薬はアトロピン製剤やロペラミドに代表されます。アトロピンはムスカリン受容体を遮断し、腸運動を抑制して効果を示します。ロペラミドはオピオイドμ受容体を刺激し、腸運動を抑制すると共に消化管からの水分吸収を促進します。収斂薬はタンニン酸アルブミンが代表的で、腸内で遊離されたタンニン酸が腸粘膜の収斂作用を示します。吸着薬は天然ケイ酸アルブミンが代表的で、腸内のガスや細菌などを吸着して粘膜への刺激を和らげます。腸内殺菌薬はベルベリンに代表され、腐敗や発酵を抑制する作用や蠕動運動抑制作用もあります。そのため感染性の下痢に用いられます。

下痢の原因

下痢の原因には色々とあります。腸管運動亢進型下痢は刺激や辛味の強い食べ物、アルコール、脂肪分の高い食べ物は腸管の運動を活発するため下痢を起こす原因となります。腸管運動低下型下痢では腸管運動が低下することで腸内で菌が繁殖したり脂肪の吸収が遅れたりします。浸透性下痢はキシリトールなどの人口甘味料によって腸内の浸透圧が上昇し水分が腸内に集まって下痢の症状を引き起こします。分泌性下痢は細菌やウイルスにより起こります。腸内の炎症などにより腸粘膜から大量の浸出液が分泌されることによります。単純性下痢とは暴飲暴食や寝冷えなどが原因で起こります。原因によって適している医薬品、適さない医薬品とあるため、使用時には適したものを選ぶ必要があります。

止瀉薬の服用時の注意点

最も強力な止瀉作用を持つロペラミドは市販でも良く販売されています。食べすぎや寝冷えなどの下痢には使用できますが、感染性が疑われる下痢には使用できません。菌やウイルスの体外への排泄を抑制してしまうためです。高熱や嘔吐を伴う場合は感染性の疑いがありますので、もしそのような方が一般用医薬品を買いに来られたら医療機関の受診を勧めましょう。またロペラミドは中枢神経を抑制する作用もあり眠気やめまいを起こすことがあるため、服用後の運転や機械類の操作、高所での作業には注意が必要です。タンニン酸アルブミンは牛乳アレルギーのある方は服用できません。アルブミンは牛乳カゼインに由来しているためです。基本的にどの止瀉薬も長期の服用は望ましくないので、症状が長く続く場合には医師へ診察してもらうべきです。一般用医薬品としても多く発売されているため止瀉薬はドラッグストアでも簡単に手に入れることができます。しかし、服用に注意が必要となります。殺菌効果を持つベルベリンや木クレオソートを含む医薬品は食あたりなどには有効ですが、直接腸管運動を抑制するわけではないので寝冷えやストレス性の下痢には効きません。症状に有った止瀉薬を選ばなければなりません。