薬価基準

薬価基準(やっかきじゅん)とは

日本で採用されている保険診療では、全国のどの医療機関であっても同額の請求を行う必要があります。人の命が関わる医療では質を保つべきだからです。したがって、一般的な物価と異なり自由な価格競争が良いとは限りません。そのため、保険診療で扱う医療用医薬品の価格は、厚生労働大臣によって商品ごとに定められています。この商品ごとに定められた薬の価格が薬価基準であり、2017年8月現在、収載されている品目数は1万6千程度にのぼります。薬価基準には新しく有効性や安全性が認められ、承認された「先発医薬品」と、先発医薬品と成分、規格が同じであり効果も同等とされる「後発医薬品(ジェネリック医薬品)」の両方が含まれています。薬価基準に収載された医薬品でなければ、保険適用はできません。また、価格は景気や時代によっても変動するものですので、薬価基準も1~2年に1回全面的に改定されます。しかし、あくまで医療機関から患者への売値であり、仕入れ値は一般の市場に近い価格競争が行われています。現状では仕入れ値と薬価の差額の大きな医薬品のみを扱う利益追求が起こる可能性もあり、薬価基準の制度の在りかたが模索され続けています。

薬価基準リストに掲載されている情報

薬価基準を定めたリストには、最低限の情報がまとめられ、記載されています。それぞれの項目を以下に説明します。区分:内用薬や外用薬など使用方法による区分、薬価基準収載医薬品コード:薬価が定められた商品ごとの識別コード。メーカーや商品名が同じでも規格や剤形ごとに付与されます、成分名:医薬品の薬効成分の名称、規格:10 mg、20 mgなど医薬品含有量などで決まる規格、品名:流通する際の商品名で、後発品のほとんどは定められた命名法に従っています、メーカー名:医薬品を開発した製薬会社の名称、先発品・後発品の別:保険診療では先発品か後発品かで扱いが異なる場合があるため明記されています、同一剤形規格の後発医薬品の有無:先発品のうち代替可能な後発品が存在するかどうかをしめします、薬価:定められた薬価です。ここに示された数字の単位は円で、規格欄に記載された量あたりの価格です。また、リストは厚生労働省のホームページなどから閲覧することができます。

薬価基準に収載される先発医薬品と後発医薬品

後発医薬品は開発費用を抑えられる分、安価に流通させられることを特徴としています。そこで、現在日本では莫大な国民医療費を削減するためにも、この後発医薬品の普及を推進しているのです。普及策の一環として、後発医薬品の使用率などによって診療報酬の加算ができる制度なども存在します。しかし、後発医薬品であればどんなものでも使用したとカウントしても良いわけではありません。区分上は後発医薬品でも、先発医薬品と薬価が同額であったり高価であったりすれば医療費削減にはなりませんよね。したがって、リストには、このような加算等の算定対象とみなされない後発医薬品には★印が付されています。