血漿分画製剤

血漿分画製剤とは

血漿分画製剤は血液製剤のひとつです。血液製剤を遠心分離すると、透明な上層と赤い沈殿物を含む下層に分かれますが、上層部分から得られる製剤が血漿分画製剤になります。血漿分画製剤には、血清アルブミン製剤や免疫グロブリン製剤、血液凝固因子製剤などのタンパク製剤があり、それぞれ何らかの原因で欠乏・不足した時などに投与されます。

血漿分画製剤の製造工程と安全確保

血漿分画製剤は、次のような流れで製造されます。まず、献血者の問診から始まり、種々の感染症の既往がないか確認します。その後献血を行い、各種スクリーニングを行うことで感染症等の有無を確認します。この基準をクリアした原料血漿に対しては、加熱処理やウイルス除去膜処理などを行うことでウイルスを不活化・除去します。最後に製品試験・国家検定を行って安全性が確認されれば、めでたく血漿分画製剤として使用されるようになります。この製造工程の中で、血漿採取の際の検査、ウイルス不活化・除去、最終試験の3つは特に安全確保のために重要なポイントとなっており、近年ではその徹底化が進められています。その努力もあってか、近年の血漿分画製剤の安全性は高まってきています。しかし新規のウイルスの混入等を考えると、100%安全とは言い切れないのが現状です。そのため、日本血液製剤機構では新規ウイルス除去対策を進め、更なる安全性の確保に努めている最中です。

血漿分画製剤とクロイツフェルト・ヤコブ病

血漿分画製剤において話題になった副作用は、クロイツフェルト・ヤコブ病です。ご存知の方も多いのではないでしょうか?クロイツフェルト・ヤコブ病とは、異常なプリオンタンパクが脳に沈着することで、認知症や行動異常など脳神経細胞における機能障害が急速に進行する病気をいいます。この病気の恐ろしいところは、「急速に進行」し、「治療法がない」ということです。数ヶ月以内に認知症が発症した後、半年も経たない内に寝たきりの状態となり、最悪の場合死に至ります。そしてこの病気には治療法がないため、現段階では感染を予防することしか対策はないのです。ですから、血漿採取の際には、クロイツフェルト・ヤコブ病に関連する事項の聴取は必要不可欠になってきます。既往の有無だけでなく、硬膜移植や角膜移植を受けたことがあるか、欧州滞在歴はないかなどということもしっかりチェックするようにしましょう。