改良医薬品

改良医薬品とは

改良医薬品とは、既存の医薬品と同一の効能効果、適応症を持っていながら、有効成分の化学構造が異なる医薬品をいいます。化学構造が異なるとはいっても、基本骨格は類似していることが多いため、「Me-too-drug」とも呼ばれます。これが新薬として市場に出回った時は、業界用語で「ゾロ新」と呼ばれています。また、特許が切れた既存の医薬品と有効成分が同じで添加物等が異なる後発医薬品ジェネリック医薬品)とは異なる意味で使われています。

改良医薬品のメリット

改良医薬品は、新薬の開発と比べてコストが大幅に削減できる点が最大のメリットになります。これは、改良医薬品の目的が、新規性を求めて従来の治療法を改革するのではなく、有効性や安全性、患者さんのコンプライアンスの向上にあるためです。よって、多くの製薬企業はこの改良医薬品の開発に重きを置いています。具体的には、副作用が少ない、飲みやすい、使いやすい、吸収されやすい、服用回数が少ない(持続性が高い)などのメリットを目標に、改良が進められています。また、降圧薬などでよくみられる配合剤も改良医薬品の一つです。配合剤は2剤以上の薬剤が1錠になっているため、服用錠数が少なくなるだけでなく、飲み間違いのリスクも減ります。また、単剤の組み合わせよりも配合錠の方が薬価も安いという点も大きなメリットです。

よりよい医薬品を作るために

改良医薬品は、その名の通り既存の医薬品を改良した医薬品です。この目的は、患者さんにいかに快適に使っていただくかというところにあります。患者さんの声にしっかり耳を傾けるということです。改良医薬品を開発するのは製薬企業ですが、製薬企業の開発担当者は直接患者さんと関わっているわけではありません。製薬企業のMR(医薬情報担当者)が定期的に薬局あるいは病院薬剤部に来訪し、医薬品に関する情報提供や情報収集を行います。そして、そこで得た情報が開発担当者に伝えられます。ここで強く言いたいのは、患者さんの声を直に聞くことができるのは薬剤師です。ですから、私たち薬剤師も、医薬品の使用感や効き目などを患者さんから聞き出し、得られた情報をMRに報告することで、よりよい医薬品の改良に積極的に関わっていきましょう。